近いうちに米国株は暴落する!?

目下、インフレ懸念が進行するなか、金融市場は以下の黒板のとおりに動くことを説明してきました。

  • 条件:「米国リセッション懸念」より「米国インフレ懸念」が大きい
    • FF金利利上げの激化
    • 米国長期金利が上昇
    • 米国株下落
    • ドル高
    • 円安

上記の「米国株下落」以外については、明確に傾向を把握することができたのではないでしょうか。
「米国株下落」については、昨日の記事で、「米国株はのちのちボディーブローが効いてきて下落をする」という説明をしました。そんなことを記載していた矢先、昨日は大幅に下落をしましたね。
それまでは、上昇傾向にあったのに、なぜ、のちのちダウンしてくるのかについて、今回は説明したいと思います。(FX自動売買トレードと趣旨が異なりますが、ご興味のある読者さんはお付き合いください。)

二つのボラと長期金利で読み解く米国株暴落の将来

タイトルにあります二つのボラとは、「VIX指数」と「MOVE指数」のことです。
「VIX指数」はご存じの方が多いかと思います。
「VIX指数」は米国株式市場における恐怖指数とも呼ばれており、何らかの要因により株式市場のリスクが高まり、今後の株式市場のボラティリティが高まると予想されるときに数値が上昇します。

その一方、「MOVE指数」は、債券バージョンの恐怖指数です。何らかの要因により債券市場のリスクが高まり、今後の債券市場のボラティリティが高まると予想されるときに数値が上昇します。

「VIX指数」の数値が極めて高くなると、米国株式は急落するといわれています。また、「MOVE指数」の数値が極めて高くなると、米国債は急落し、長期金利(米国債10年物利回り)は急上昇するといわれています。

それでは、ちょっとややこしいチャートをご覧いただきたいと思います。


S&P500の日足チャートに、VIX、MOVE及び長期金利(US10Y)のチャートをマージしたものです。

半透明紫色のボックスで囲った個所は、今年4月から5月にかけてS&P500(ローソク足のチャート)が下落したポイントです。

ボックスの左端をご覧ください。
MOVE(水色ラインチャート)が急上昇しているのが確認できます。その後、長期金利(US10Y・青色ラインチャート)が上昇を始めていますね。その間、VIX(黄色ラインチャート)は、4月初頭まで下落して、4月18日辺りまで横ばいに推移しMOVEと乖離しているのがわかります。乖離が続いた後、VIXはMOVEの上昇に牽引されるように上昇していることを確認できます。
VIXが上昇している間は、S&P500は下落し続けています。

全体の流れをまとめると以下のようになります。

MOVE上昇 ⇒ 長期金利上昇 ⇒ MOVEとVIXが乖離 ⇒ VIX上昇 ⇒ S&P500下落

いつもこの流れで相場が動いているわけではありません。
この傾向は、コロナショック後に見られるようになりました。

長期金利とNasdaq PERの相関関係について

長期金利とNasdaq PERに相関関係があると指摘するストラテジストがいたので、その内容を紹介します。

リーマンショック前段階の2008年とFRBがテーパリングを実施した2013年は、ともに長期金利が非常に高かったのですが、ご存知のとおり、前者は株価が大暴落をしており、後者はさほど暴落をすることはありませんでした。

これら二つの時期で異なっていたのが、Nasdaq PERです。
リーマンショック前段階の2008年は、PERが25倍近くから30倍近くまで推移していました。一方、FRBがテーパリングを実施した2013年のPERは、16倍程度でした。

長期金利が暴騰していて、なおかつ、PERも高ければ、株価は大暴落をする。一方、長期金利が暴騰していてもPERが低ければ、株価は大暴落をしない。
長期金利とNasdaq PERには、そのような相関関係があるというのです。

さて、それでは、現在のNasdaq PERを確認してみましょう。


27.76倍ですねえ。。
リーマンショック前段階の2008年当時と同じレベルです。。。

現在、MOVEとVIXが乖離をし続けています。MOVEに牽引されてVIXが上昇を開始したら、それが株価暴落のサインですね。