11月から金融引き締め効果なし!?米金融環境はゆるゆるに!

 FRBによる利上げペース減速が期待されるなか、米国株の買いが集中し、ダウ、SP500、ナスダックの3指数ともに高騰しました。また、いつもは冷静な債券市場でも買いが集中しちゃっている状況です。

 そこで、米国の金融環境の引き締まり度合いを確認してみましょう。下図は、シカゴ連銀が発表しているNFCI(National Financial Conditions Index:米国内金融環境指数)です。この指数が高いほど米国における金融環境の引き締まり度合いが高いこと(市中の金利が高い等)になります。逆にこの指数が低いほど、金融環境はゆるゆるということ(市中の金利が低い等)になります。

 上図はコロナ後の金融緩和開始時である2020年4月から表示しています。

 2022年3月から金融引き締めを開始し、FCIは上昇の一途を辿りましたが、2022年10月14日でピークに達してから、下落しているのがわかりますね。

 FOMCは、11月に0.75%、12月0.5%の利上げを決定したにもかかわらず、FCIは下がっています。つまり、金融引き締めを実施したにもかかわらず、金融環境はゆるゆるになってしまったということです。どの程度ゆるゆるになったかというと、コロナ後の金融緩和期間(2020年4月~2022年2月)中の2020年7月辺りと同じ水準までゆるゆるになってしまいました。

そして、楽観的な金融市場に火の鳥パウエル(怒りで燃え盛る鷹となったパウエル)降臨!?

 上記のとおり、金融環境はゆるゆるなのに、今週開催されるFOMCでFF金利の引き上げペースが減速されるなんてことはあるのでしょうか!?
 FOMCメンバーの発言を確認すると、多くのメンバーが今回の利上げは0.25%を支持していました。投票権を持っているメンバーの中で最もタカ派であるウォラー理事までもが0.25%を支持していましたので、まあ、今回は0.25%の引き上げの公算が高そうです。

 しかし、0.25%の利上げを明言していないFOMCメンバーのほうが多いので、もしかしたら、ひょっとしたら、、、0.5%利上げも無くはない話です。。
 また、0.25%の利上げであっても、パウエル議長の口からハト派な内容が飛び出してくることはないでしょう。
 世の中のローン金利が下がったり、株価が高騰したりすれば、せっかく下がってきたインフレがまたもや再浮上してしまいます。ここでハト派な態度を取ればFRBが今までやってきたことは水の泡になりますので、パウエル議長の口からは、火の鳥のような怒りで燃え盛った鷹が飛び出してきそうです。

 そうなると、ドル円は上昇し、それにつられてメキシコペソ円も上昇するでしょう。ちなみに、現在の個人投資家のドル円ポジションを確認すると、ショートが優勢になっていますが、火の鳥にまる焼けの焼き豚にされないようお気を付けいただきたいところです。
関連記事

今週の利確&押し目買いタイミングはここだ!!

 今週は10個も注目すべき項目があります。過去最高数ですかね。ずーとみていたら、目がしばしばするかもしれませんので、ご注意ください。

 1つ目は、日本時間1月31日 (火曜日)21:00に予定している「メキシコ)GDP成長率」の発表です。
 結果が市場予想を上回った場合、景気後退懸念が縮小するので、メキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、景気後退懸念が増大するので、メキシコペソ円は下落するでしょう。

 2つ目は、日本時間2月1日 (水曜日) 21:00に予定している「メキシコ)景況感 」の発表です。
 結果が市場予想を上回った場合、景気後退懸念が縮小するので、メキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、景気後退懸念が増大するので、メキシコペソ円は下落するでしょう。

 3つ目は、2月1日 (水曜日) 22:15に予定している「米)ADP全米雇用報告」の発表です。
 この指標はAIを導入してから精度が向上したという定評があり、いまや注目されるようになりました。
 結果が市場予想を上回った場合、景気後退懸念が縮小するので、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、景気後退懸念が増大するので、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。

 4つ目は、日本時間2月2日 (木曜日)00:00に予定している「米)ISM製造業景況指数」の発表です。
 結果が市場予想を上回った場合、景気後退懸念が縮小するので、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、景気後退懸念が増大するので、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。

 5つ目は、日本時間2月2日 (木曜日)00:00に予定している「米)JOLTS求人」の発表です。
 この指標はFRBも確認していますので、注目すべき指標です。
 結果が市場予想を上回った場合、景気後退懸念が縮小するので、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、景気後退懸念が増大するので、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。

 6つ目は、毎度お騒がせします。日本時間2月2日 (木曜日)04:00に予定している「米)FOMC政策金利&声明発表 」の発表です。
 今回はドットプロットチャート等の経済見通し(SEP)の発表はありません。
 0.5%の利上げがあった場合、ドル円とメキシコペソ円は暴騰するでしょう。
 0.25%の利上げがあった場合、市場予想通りなため、ドル円とメキシコペソ円の値動きは限定的でしょう。CME FedWatchによると、今回のFF金利予想が+0.25%である確率が98%であるため、結果が予想通りになっても値動きは乱高下しそうにないです。
 利上げ無しであった場合、ドル円とメキシコペソ円は暴落するでしょう。

 7つ目は、日本時間2月2日 (木曜日)04:30に予定している「パウエルFRB議長の記者会見」です。
 タカ派な発言内容の場合、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、ハト派な発言内容の場合、ドル円とメキシコペソ円は急落するでしょう。

 8つ目は、日本時間2月3日 (金曜日)21:00に予定している「メキシコ)消費者信頼感」の発表です。
 結果が市場予想を上回った場合、インフレ懸念が増大するので、メキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、インフレ懸念が縮小するので、メキシコペソ円は下落するでしょう。

 9つ目は、日本時間2月3日 (金曜日)22:30に予定している「米)雇用統計:非農業部門雇用者数、失業率、平均時給」の発表です。
 前回は非農業部門雇用者数が上がり、失業率が下がったにもかかわらず、平均時給が下がってしまい、悪い結果として市場に受け取られていました。3項目のうち平均時給の重要度が大きいようですね。
 結果が市場予想より良かった場合、景気後退懸念が縮小するので、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想より悪かった場合、景気後退懸念が増大するので、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。

 10個目は、日本時間2月4日 (土曜日)00:00に予定している「米)ISM非製造業景況指数」の発表です。
 結果が市場予想を上回った場合、景気後退懸念が縮小するので、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、景気後退懸念が増大するので、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。

今週の利確&押し目買いポイントはココだ!

 利確ポイントも押し目買いポイントも先週と同じです。
 ここ3週間は、利確ポイントにも押し目買いポイントにも達することはありませんでしたが、今週は重大指標と要人発言が目白押しなため、結果次第では、利確ポイントまた押し目買いポイントのどちらかに達しそうです。

 まずは、利確ポイントについて記載します。前回と同じ内容になりますので、ポイントのみ記載します。
 以下はメキシコペソ円の日足チャートです。

 一つ目の利確ポイントは「10/21から12/20までに形成された下降波のフィボナッチリトレイスメント0.5(7.0839円辺り)」です。

 二つ目の利確ポイントは「10/21から12/20までに形成された下降波のフィボナッチリトレイスメント0.618(7.2009円辺り)」です。

 三つ目の利確ポイントは「10/21から12/20までに形成された下降波のフィボナッチリトレイスメント0.786(7.3676円辺り)」です。

 方向感のない相場では、誰も彼も明確に先を指し示してくれる羅針盤を手にすることができないため、フィボナッチリトレイスメントはとても有効です。
 なお、中期的見通しでは、8/2から10/21までに形成された上昇波の間(上限が7.5798、下限が6.3769の間)をレンジとして、値動きするものと考えています。

 次に、押し目買いポイントについて記載します。

 一つ目の押し目買いポイントは、前回に引き続き、上記週足チャートで説明した「週足ボリンジャーバンドの-3σ(現在値:6.4236円)」です。
 下図は、メキシコペソ円の週足チャートになります。

 ボリンジャーバンドは現在値から値が動きしますので、当日のチャートで正しい位置を確認しましょう。この価格に近づいたら、ツイッター(@Ryujuok)でつぶやくつもりです。

 二つ目の押し目買いポイントは、ドル円が125円辺りまで下落して下値を固めたときです。
 125円は「500pips刻みライン」の一つであり、相場参加者に意識されるポイントです。ここでサポートされる可能性は高いです。