先週のFOMCでパウエルFRB議長が「ディスインフレが現在進行中である」と発言したことを受けて、米国債と米国株相場は急騰し、長期金利が下落するとドル円も急落しました。パウエルFRB議長は「インフレ率が持続的に低下しつづけることを示す多くの証拠」を目にする必要があるとも発言しており、その発言をガン無視した市場参加者を襲ったのが「雇用統計とISM非製造業景況指数」の好成績でした。インフレ懸念は一気に増大し、米国債、米国株、長期金利、ドル円は逆転しました。
  • 市場は2回の利上げを織り込むも本年中の利下げを織り込みFOMCの意向に抗う
  • 2/7に開催されるパウエル議長のインタビューがヤマバ!
  • 今週は鷹が飛び交う週!市場は態度を改めざるを得ない
  • 「雇用統計とISM非製造業景況指数」の好成績から始まったドル円上昇の流れは継続するか!?

市場は2回の利上げを織り込むも本年中の利下げを織り込みFOMCの意向に抗う

 下図は現在のCME FedWatchの一覧です。
 FF金利先物市場では、次回以降の3月と5月で、2回の利上げを織り込んでいるのがわかります。ただし、5月の2回目の利上げについては織り込み具合は48.2%と浅いです。織り込み具合は70%を超えてからカチッと固まってきます。市場はまだ2回目の利上げについて不信感を持っている感じですね。

また、市場は本年11月に利下げをするとの見解も示しています。この点においてFOMCの意向に反し続けているようです。

2/7に開催されるパウエル議長のインタビューがヤマバ!

 今週2/7にパウエル議長がワシントンDCのエコノミッククラブでインタビューに答えます。これまで歴代の議長や要人がエコノミッククラブで発言してきたこともあり、ここでの発言はとても注目されます。

 「雇用統計とISM非製造業景況指数」はFOMC後に発表されました。パウエル議長はFOMCで「インフレ率が持続的に低下しつづけることを示す多くの証拠」があれば「複数回の利上げを辞さない」ことを示唆しています。今回のエコノミッククラブでのインタビューで、パウエル議長がタカ派の発言をすることは間違いないでしょう。

今週は鷹が飛び交う週!市場は態度を改めざるを得ない

 今週は、パウエル議長のエコノミッククラブでのインタビューに加えて、過激なタカ派であるウォラーFRB理事の発言もあります。
 FOMC後に最初に発言したFOMCメンバーは、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁でした。ハト派で知られるデーリー総裁ですが、発言内容はタカ派でした。雇用統計の結果を受けて、「追加引き締めと景気抑制的なスタンスを当面維持すべき」と発言しました。ハトがタカ派な発言をするぐらいですから、間違いなくウォラーFRB理事からは過激なタカ派発言が出てきそうです。

 2回目の利上げについて懐疑的であり、本年中の利下げを予想している市場参加者に対して、改めてFOMCのタカ派なインフレ対策が示される機会があれば、市場参加者は今までの態度を変えざるを得ませんね。

「雇用統計とISM非製造業景況指数」の好成績から始まったドル円上昇の流れは継続するか!?

 上述したとおり、市場が今までのインフレ軽視の態度を改めることとなれば、間違いなくドル円は上昇します。そして、ドル円の上昇につられてメキシコペソ円も上昇するでしょう。

 さらに、日銀人事でも動きがありました。日経新聞が「次期日銀総裁に雨宮正佳副総裁を充てる案で政府が調整」と報じました。
 雨宮副総裁は安倍首相が選んだリフレ派の日銀メンバーです。黒田総裁と共に異次元緩和を続けてきました。そのような経緯を踏まえれば、YCCや政策金利の手直しは当面ないでしょう。人事発表は、確定ではないですが2/10であると予想されています。
 ドル円相場もこの人事に反応するでしょう。今まで、ドル円は日銀によるYCCや政策金利の手直しを見込んで下落してきました。それが当面ないとなると、下落した分は持ち直すでしょう。今週は、やっべっぞ~♪

今週の利確&押し目買いタイミングはここだ!!

 今週はFOMCメンバーの発言が目白押しです。また、日銀人事の発表もあるかもしれませんので、ドル円とクロス円にとっては激動の1週間になりそうです。
それでは、日次順に利確&押し目買いタイミングについて以下に記載します。

 1つ目は、日本時間2月8日 (水曜日) 02:40に予定している「米)パウエルFRB議長の発言」です。
 タカ派な発言内容の場合、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、またもやタカともハトともとれる玉虫色な発言内容となった場合、ドル円とメキシコペソ円は急落するでしょう。

 2つ目は、日本時間2月8日 (水曜日) 04:00に予定している「米)バーFRB副議長の発言」です。
 今週はFOMCメンバーの発言が多いため、下図の「FOMC Hawk/Dove Analysis」で各メンバーのタカ・ハト度合いを確認しておきましょう。
 バーFRB副議長はハトよりですね。
 FOMCメンバーの発言とドル円・メキシコペソ円の騰落の関係についてはパウエル議長と同じです。

 3つ目は、日本時間2月8日 23:15に予定している「米)ウィリアムズ:NY連銀総裁の発言」です。
 ウィリアムズ:NY連銀総裁は「FOMC Hawk/Dove Analysis」によるとタカよりですね。

 4つ目は、日本時間2月8日 23:30に予定している「米)クックFRB理事の発言」です。
 クックFRB理事は「FOMC Hawk/Dove Analysis」によるとタカよりですね。

 5つ目は、日本時間2月9日 (木曜日) 00:00に予定している「米)バーFRB副議長の発言」です。
 バーFRB副議長はこれで今週2回目の発言になります。

 6つ目は、日本時間2月9日 (木曜日) 02:30に予定している「米)カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の発言」です。
 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は「FOMC Hawk/Dove Analysis」によると、タカ派です。

 7つ目は、日本時間2月9日 (木曜日) 03:45に予定している「米)ウォラーFRB理事の発言」です。
 ウォラーFRB理事は「FOMC Hawk/Dove Analysis」によると、投票権を持っているメンバーのうちで最もホーキッシュなタカ派です。

 8つ目は、日本時間2月9日 (木曜日) 21:00に予定している「メキシコ・消費者物価指数(CPI) 01月」の発表です。
 下図はメキシコ・消費者物価指数(CPI)の前年同月比の推移です。
 12月の結果は11月を上回り高止まりしています。また、今回の予想(コンセンサス)はさらに上回ると、市場では見込まれています。
 結果が市場予想を上回った場合、インフレ懸念が増大するので、メキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、インフレ懸念が縮小するので、メキシコペソ円は下落するでしょう。

 9つ目は、日本時間2月10日 (木曜日) 04:00に予定している「メキシコ中銀政策金利」の発表です。
 下図はメキシコ中銀政策金利の推移です。
 今回の予想(コンセンサス)は0.25%の利上げとなっています。FF金利とカップリングを続けてきた経緯を考慮すると、予想どおりとなりそうです。
 結果が市場予想を上回った場合、メキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、メキシコペソ円は下落するでしょう。


 10個目は、日本時間2月10日 (金曜日)に予定している「日銀人事」の発表です。確定ではありませんのでご注意ください。
 雨宮副総裁が選ばれた場合、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 中曾さんが選ばれた場合、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。中曾さんは中立なスタンスを示していることから、ドル円の騰落を判断するのは難しいですね。金融緩和の姿勢を継続するとしても異次元な金融緩和を軟化させるのは明らかでしょう。そうなると、海外からの国債空売り圧に屈することになるので、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。
 山口さんが選ばれた場合、タカ派なため、ドル円とメキシコペソ円は急落するでしょう。

 11個目は、日本時間2月11日 (土曜日) 02:30に予定している「ウォラーFRB理事の発言」です。
 ウォラーFRB理事はこれで今週2回目の発言になります。

 12個目は、日本時間2月11日 (土曜日) 06:00に予定している「米)ハーカー:フィラデルフィア連銀総裁の発言」です。
 ハーカー:フィラデルフィア連銀総裁は「FOMC Hawk/Dove Analysis」によると中立ですね。

今週の利確&押し目買いポイントはココだ!

 押し目買いポイントは、2022/12/20、「今週のメキシコペソ円(MXNJPY)押し目買いポイント|2022/12/19」で紹介した「8/2から10/21までに形成された上昇波のフィボナッチリトレイスメント0.786(6.6272円辺り)」に達して以来、しばらくは次の押し目買いポイントまで下落することは無さそうですね。しっかり押し目を拾えた人はおめでとうございます。

 利確ポイントも押し目買いポイントも先週と同じです。
 今週は利確ポイントに達するかもしれません。利確したい方は相場に参加して、しっかり利確しましょう。

 まずは、利確ポイントについて記載します。前回と同じ内容になりますので、ポイントのみ記載します。
 以下はメキシコペソ円の日足チャートです。

 一つ目の利確ポイントは「10/21から12/20までに形成された下降波のフィボナッチリトレイスメント0.5(7.0839円辺り)」です。
 のっぴきならない事情で現金が入用になる方はここで利確してみては。。

 二つ目の利確ポイントは「10/21から12/20までに形成された下降波のフィボナッチリトレイスメント0.618(7.2009円辺り)」です。
 このポイントはフィボナッチ使い達に最も意識されているポイントであり、ここに達する確率は高いです。

 三つ目の利確ポイントは「10/21から12/20までに形成された下降波のフィボナッチリトレイスメント0.786(7.3676円辺り)」です。
 このポイントもフィボナッチ使い達に意識されているポイントです。メキシコペソの強さから言って、ここまでは達すると思っています。

 なお、中期的見通しでは、8/2から10/21までに形成された上昇波の間(上限が7.5798、下限が6.3769の間)をレンジとして、値動きするものと考えています。長期的視野で、待って、待って、待って、待って、頃合いで売ってください。待っている間もスワップポイントがちゃりんちゃりん入ってきます。待つのが苦になりませんね。

 次に、押し目買いポイントについて記載します。

 一つ目の押し目買いポイントは、前回に引き続き、上記週足チャートで説明した「週足ボリンジャーバンドの-3σ(現在値:6.4079円)」です。
 下図は、メキシコペソ円の週足チャートになります。

 ボリンジャーバンドは現在値から値が動きしますので、当日のチャートで正しい位置を確認しましょう。この価格に近づいたら、ツイッター(@Ryujuok)でつぶやくつもりです。忘れたらめんごです。

 二つ目の押し目買いポイントは、ドル円が125円辺りまで下落して下値を固めたときです。
 125円は「500pips刻みライン」の一つであり、相場参加者に意識されるポイントです。ここでサポートされる可能性は高いです。

今週は利確ポイントまで達するか、楽しみですねえ♪