昨日21:30に発表されたカナダCPIの結果が上振れたことを受けて、車で行けるご近所であるアメリカのインフレも懸念され、米中長期債利回りが上昇したようです。中国による米債売りも手伝って、米中長期債利回りは高値を維持しています。
 そうなると、ドル円も上昇してしかるべき状況ですが、今朝、神田財務官による円安けん制発言があり、148円手前で上値が重いそうだとなっています。
 本日27:00はFOMC政策金利発表が控えており、上値追いはできない状況です。ただし、下値もカチカチに固まっているので、下値付近で押し目買いをするチャンスはあるかと思います。もし、良いタイミングで押し目買いができたとしてもFOMC前に利確したいと思います。

FOMC解説


 FF金利先物市場では今後の利上げについて、先週までは40%台まで織り込んでいましたが、現在は30%台であり、FOMC政策金利発表前に静観しているようです。
 以下は、CME FedWatchの表になります。


 本日発表されるFOMC政策金利については、99%が金利据え置きを織り込んでいます。これはほぼ確定事項ですね。重要なのは、今後の利上げ有無です。FF金利先物市場は、「今後の利上げはないんじゃない!?」って感じです。

 今回のFOMCは、FOMCメンバーによる経済見通し(Summary of Economic Projections)が公表されます。
 以下は、前回6月と前々回3月のドットプロットチャートです。(OANDAさんのページを拝借)


 6月時点では、2023年の中央値が5.625%であり、今年中の利上げを示唆していました。今回は、この中央値に大注目してください。金利は据え置かれたとしても、今後FOMCメンバーは利上げを予想しているのかがポイントです。5.5%以下でドットの数が一番多い場合は、今年中の利上げはもうないよということです。ちなみに、このドット一つは、FOMCメンバー一人の予想を表しています。
 今回の中央値が5.625%以上であれば、ドル円上昇の材料となります。それ以外は、ドル円下落の材料となります。

 ドットプロットチャートで注目すべき点はもう一つあって、それは「Longer Run」です。
 「Longer Run」について、市場はこれを中立金利として認識しています。これが高いと、今後も金利は高い傾向にあるのだなと考えます。
 前回の中央値は2.5%でした。今回の中央値が2.625%以上であれば、ドル円上昇の材料となります。2.5%未満であれば、ドル円下落の材料となります。

 さらに、前回のドットプロットは、2025年までの予想しかありませんでしたが、今回は2026年の予想も追加されます。FOMCデータ解析で変数が1つ増えるわけです。今回のFOMCは政策金利が据え置きで無風ってわけにはいかなそうです。

 次に、いつもXでつぶやいている「Chicago Fed National Financial Conditions Index (米国内金融状況指数)」を確認しましょう。


 0以下は、米国市中の金融は緩和されていることを意味します。あれ!?FRBは金融引き締めを続けているのに、それに反比例して下がっていますね。つまり、FRBの意に反して、米国市中の金融はゆるゆるになっています。パウエル議長が、この状況を無視するとは思えませんね。

 それでは、FOMCメンバーのタカ・ハト具合を確認してみましょう。
 以下は、「Hawk/Dove Analysis」です。


 最終更新日が7/31なので、古いデータですね。
 ブラックアウト期間前に、アトランタ連銀総裁が「まだやるべき仕事がある」と発言しておりタカ派に転じています。その一方、ウォラーFRB理事は「何もしないで、データを待つことが可能」とハト派に転じています。
 ハトとタカが一人ずつ入れ替わったわけですが、全体的にタカ派だということがわかりますね。

 経済見通し(Summary of Economic Projections)では、FOMCメンバーのPCEインフレ率の予想等も発表されます。
 それでは、重要なコアPCEインフレ率の前回の予想を確認しておきましょう。


 6月時点の中央値は、「3.7-3.8%」です。今回、中央値が「3.9%」以上となった場合、FOMCメンバー内でインフレ懸念が増大していることになりますので、ドル円上昇の材料になります。それ以外は、ドル円下落の材料となります。

FOMC前までは147.505円を下限として上値追い


 先週金曜日から148円手前で揉み合っていましたが、15時に直近高値を上抜きましたので、上昇基調に乗ったようです。
 エリオット波動のカウントは前日と同じです。



 現在、3波のうちの➂波、そのうちのⅲ波が進行しており、さらに細かくみると、ⅲ波のうちの㊂波が進行しているようです。サードオブサードで強含んでいます。

 ㊁波終点である「147.505円」を下限として、上昇し続けるでしょう。
 ただし、FOMC前になったら、調整が働くと思いますので注意すべきです。
 それまでのターゲットは、ⅲ波終点です。ⅲ波値幅は、ⅰ波値幅の1.618倍程度延長しますので、価格でいうと、148.443円になります。