先週は、FOMCでのパウエル議長の発言がハト派と受け止められると、米10年債利回りが下落してドル安・ペソ高の地合いが形成されました。先週末には「米ISM非製造業指数」と「非農業部門雇用者数」が予想より低い結果となり、また、「失業率」は悪化したこともあり、利上げ期待は決定的になくなり、さらに米10年債利回りが下落して、ドル安・ペソ高は加速しました。
 しかし、米10年債利回りは、先週末、下値を固めてから上昇するサインを見せています。パウエル議長は、FOMCでQTのペースを崩さないとも発言していることから、QTにより上昇したものと推測できます。米10年債利回りが一本調子で下落すれば、バランスシートの縮小に二の足を踏んでいたFRBが、容赦なくQTを行うことは、想像しがたいことではないでしょう。
 メキシコペソ米ドルの値動きは、今後も米10年債利回りが握っているようです。また、ドル円は持ち合い相場になりそうなため、今後のメキシコペソ円はメキシコペソ米ドルの値動きに従って動きそうです。

米QTは当初計画していた1兆925億ドルに達したはずだが…

 FRBは2022年5月4日、バランスシートの規模を縮小する計画を公表し、6月1日からQT(量的引き締め)を開始しました。
 現在、どの程度QTが行われたのか、進捗を確認してみましょう。
 下図は、FRBの総資産残高の推移を示すチャートになります。


 QTの当初計画では、1兆925億ドルの縮小を予定していました。
 QT前につけた最高値が「8.9720兆(Trillion)ドル」です。そこから、1兆925億ドルを差し引いた金額は7.8795兆ドルです。10/30の時点で、7.8670兆ドルに達しているため、当初計画されたQTは終了していることになります。
 そうなると、新しいQT計画がすすんでいることになりますが、それに関する情報が拾えません。11/1にパウエル議長がバランスシートの縮小のペースを崩さないと発言したことから、今後もQTを続ける公算は大きいです。上図を見てわかるとおり、FRBは今まで異次元のQEを実施した結果、総資産残高は焼け太りに太りました。今後は、FF金利を上げずに、QTで金融引き締めをして、この焼け太りをついでに解消しようとしているかもしれませんね。

米10年債利回りは上昇しそう

 下図は、メキシコペソ米ドルの1時間足チャートに米10年債利回り(US10Y)を追加したものです。


 チャート下段はCC(相関係数)です。メキシコペソ米ドルと米10年債利回りは、負の相関関係が極めて高いのがわかります。つまり、米10年債利回りが下落すれば、メキシコペソ米ドルは上昇します。一方、米10年債利回りが上昇すれば、メキシコペソ米ドルは下落します。

 注意すべきは、米10年債利回りがひとしきり下落した後に反発している点です。
 下図は、米10年債利回りの4時間足チャートにエリオット波動のカウントをプロットしたものです。


 X(@Ryujuok)では随時ポストしてきた内容になりますが、現在は、(3)波のうちの4波から5波が進行しています。
 4波が3波値幅を0.5修正したところで反発しているのがわかります。フィボナッチ比率的に頃合いで反発していることから、現在、5波により上昇している可能性が高いです。
 米10年債利回りが、このまま5波により上昇し続けるとなると、負の相関にあるメキシコペソ米ドルは下落し続けることになります。
 ドル円は持ち合いを続けそうなので、メキシコペソ円はメキシコペソ米ドルの値動きに従って下落しそうです。

メキシコペソ円の最新の波動カウントについて

 下図は、メキシコペソ円の4時間足チャートにエリオット波動のカウントをプロットしたものです。



 現在、[5]波のうちの(1)波、そのうちの➃波が進行しています。
 さらに詳細にカウントすると、➃波のうちの(b)波により上昇しているようです。(b)波は、直近高値(8.6374円)を超えて上昇することはありません。

 (b)波が終了すると、(c)波により下落します。(c)波は直近安値(8.4950円)を下回り下落します。いったいどこまで下落するのでしょうか!?
 ➃波が➂波値幅を0.382修正するポイント(8.4512円)辺りまで下げる公算が大きいです。この辺で軽く押し目買いをしておきたいと思います。

 なお、今後は、4波による反落、また、(2)波による反落が待っています。上記押し目買いポイントよりも下落しそうであれば、それらの反落ポイントで、しっかり、押し目買いをしたいと思います。
 上図を見ると、(2)波がだいぶ下にあり、(2)波を待った方が有利に押し目買いができそうです。
 しかし、この図はあくまで1つの想定にすぎません。(2)波終点が➃波終点より上に位置することもありえますので、その点、ご留意ください。