前回のブログ記事(2023/11/20のドル円相場)では、原油と米10年債利回りの反発がトリガーになってドル円も上昇するという内容でした。先週は、予想どおり、原油と米10年債利回りが反発しました。しかし、火曜日のアジアタイムまでは、それらの値動きにドル円が付いてこず、下落の一途を辿りました。その後は、特に米10年債利回りの上昇に連動してドル円も反発して、先週初の水準まで上昇しました。
 円について最新のIMM通貨先物ポジションを確認すると、2023/11/14週は、2022年4月以来もっともNET SHORTが増えていました。多くのメディアでは、投機筋が決算前に積み上がった円のSHORTを手仕舞いしたという推測を報じています。原油と米10年債利回りが反発するなか、ドル円は下落したことから、この推測どおり、投機筋の円SHORTの手仕舞いが闊達に行われたとみて間違いないでしょう。しかし、その後は、先々週まで続いていた原油と米10年債利回りの価格に連動する地合いに戻っています。そうなると、投機筋による円SHORTの手仕舞いも一服したのではないでしょうか。
 なお、各取引所は毎週火曜日の取引終了後のIMM通貨先物ポジション数をCFTCに報告し、CFTCはそれを集計して当該週の金曜日午後3時30分(米国東部時間)にホームページ上で公表するといわれています。確認したところ、11/27週は未公表でした。IMM通貨先物ポジションが更新したら、どれだけNET SHORTが減ったのか確認しなければいけません。
 さて、投機筋による円SHORTの手仕舞いが一服したと仮定した場合、やはり、ドル円騰落のドライバーになるのは、原油と米10年債利回りになります。  原油と米10年債利回りの当面の値動きを考慮しながら、ドル円の値動きを予想したいと思います。

原油は今後も上昇するか!?

 11/26にOPECプラスの閣僚級会合が開催され、原油減産について取り決めをする予定でした。しかし、11/22に、会合を11/26から11/30に延期すると発表しました。
 アフリカ諸国など一部加盟国の現在の産油水準とそれに伴う減産の可能性を巡り意見の相違が生じたためらしいです。

 以下は、WTI原油先物の日足チャートにエリオット波動のカウントをプロットしたものです。

 波動のカウントは、先週から変更はありません。
 11/22までは、減産期待から価格が上昇しており、会合延期が報じられた11/22からは、弱含んでいるのがわかります。
 日本時間11/25 1:17に、ロイターが「OPECプラスはアフリカ産油国との間で産油量に関する妥協案に近づいている。」と報じました。問題なく減産は行われそうなため、11/30の会合までは、噂で原油は買われる公算が大きいです。

 波動カウントは、現在、(3)波のうちの1波、そのうちの➁波から➂波が進行しているようです。本日以降は、上昇しそうですね。

今週も原油上昇に連動して米10年債利回りも上昇するか!?

 下図は、米10年債利回りの4時間足チャートにエリオット波動のカウントをプロットしたものです。

 直近戻り高値(4.486%)に達していることから、ダウ理論でいえば上昇基調に転換したことを示唆しています。

 現在、(3)波のうちの1波、そのうちの➀波が進行しているようです。
 ➀波は終盤のようであり、➁波が始まると、(4)波終点(4.363%)を下限として中間反落しそうです。その後、➂波が始まると➀波終点を超えて上昇するでしょう。

今週こそ、米10年債利回りが上昇し続ければ、ドル円も上昇し続ける

 先週は、投機筋による円SHORTの手仕舞いが闊達に行われたといわれていましたが、それらのトレードも一服していると予想できるため、今週こそは、米10年債利回りの値動きに合わせて上昇しそうです。
 ただし、上値は限定的なため、注意が必要です。
 下図は、ドル円の4時間足チャートにエリオット波動のカウントをプロットしたものです。



 前回に続き、悲観的なカウントパターン(黄色ナンバーのカウント)と楽観的なカウントパターン(オレンジ色ナンバーのカウント)を掲載しています。

 悲観的な黄色ナンバーのカウントの場合、現在、(1)波のうちの5波、そのうちの➁波から➂波が進行しているようです。
 今後は、3波終点(147.151円)を下抜いて下落するでしょう。

 楽観的なオレンジ色ナンバーのカウントの場合、現在、(2)波のうちのB波終盤のようです。
C波が始まれば、添付図のとおり、➀波から➄波を形成しながら上昇するでしょう。(2)波は(1)波値幅の0.786程度修正しそうです。価格でいうと、150.890円程度まで上昇しそうです。
 また、(2)波が終了して(3)波が始まると、(1)波終点(147.151円)を下抜いて下落しますので、ご注意ください。