今週はメキシコ中銀による政策金利の発表が予定されている。前回は0.5%の利上げでメキシコペソ円相場を賑わせたが、今回は0.25%の利上げが予想され、利上げ幅の縮小からメキシコペソ円が弱含む展開が続きそう。また、新興国通貨であるメキシコペソは、金融市場のリスクセンチメントに左右されやすいことから金融システム不安に関するニュースが現れるたびに下落しやすい性質がある。さらに、有事の際は円買いも起きるため、世界金融不安が払拭されない間、メキシコペソ円は急落するリスクを孕みつづけていることになる。
  • 世界金融不安がメキシコペソ円相場を直撃する理由とは!?
  • 世界金融不安はいつまで続くのか!?

世界金融不安がメキシコペソ円相場を直撃する理由とは!?

 メキシコ国外の銀行が破綻したり、経営危機に直面したりするたびに、どうしてメキシコペソが売られてしまうのか!?また、メキシコペソドル相場よりもメキシコペソ円相場のほうが下落幅が大きいのはどうしてか!?そのような疑問をお持ちになった読者の方もいるでしょう。
 
 世界で金融不安が起きるたびにメキシコペソが売られてしまう理由は、メキシコペソが高金利な新興国通貨であるためです。メキシコペソに限らず高金利な新興国通貨は、金融市場のリスクセンチメントに左右されやすく、リスクオフな相場になると、売られやすいのです。

 また、銀行破綻のような有事が起きると、安全資産である円が買われます。メキシコペソ円(MXN/JPY)は、MXN/USDとUSD/JPYを掛け合わせた通貨ペアです。世界で金融不安のニュースが報じられると、メキシコペソは売られるのでMXN/USDは下がり、また、有事の円買いが進むのでUSD/JPYも下がります。そのため、MXN/JPYは、MXN/USDやUSD/JPYよりも勢いよく下がってしまうのです。

世界金融不安はいつまで続くのか!?

 クレディスイスの破綻問題については、UBSがクレディスイスの買収に合意したことにより、一服しています。
 また、AT1債の問題については、市場規模が小さい(世界で約36兆円程度とされる)ことから致命傷には至らないと判断されるようになり、一服しているようです。

 しかし、金融機関に対する警戒感は払拭されることはなく、先週金曜日はドイツで最大手であるドイツ銀行の株価が一時15%も急落しました。また、フランスの金融大手ソシエテ・ジェネラルの株価が9%下落しており、イギリスの金融大手バークレイズが6%、HSBCが7%下落する事態となっています。欧州を中心に金融機関への警戒感が続いています。
 金融機関の不安を報じるニュースが報じられるたびに、各国の財務大臣や中銀議長が「うちの銀行はだいじょうぶだあ。」とメディアに回答して市場の懸念を鎮静化しようと働きかけるのですが、市場は疑心暗鬼になるばかりです。

 いったい、いつまで、世界金融不安は続くのか!?
 日本には「人の噂も七十五日」ということわざがあります。今後、金融不安を報じるニュースが発表されることが無ければ、金融機関に対する懸念は、二、三カ月でほとんど無くなるということですかね。少なくとも二、三カ月は警戒しないといけませんね。

今週の押し目買いタイミングはここだ!!

 先週金曜日にドイツ銀行の経営不安が報じられたばかりなので、今週も金融機関の動向については警戒されています。
 先週に続き、「KBW NASDAQ BANK INDEX(BKX)」は常に確認してください。BKXの下落が止まらない間は、押し目買いをしないように気を付けましょう。

 インパクトの大きい要人発言や経済指標は以下のとおりです。

 1つ目は、日本時間3月28日 (火曜日)23:00に予定している「米)上院銀行委員会で行われる公聴会」です。
 米連邦預金保険公社(FDIC)のグルーエンバーグ会長、FRBのバー副議長、米財務省のリャン国内金融担当次官の証言が予定されています。
 当局による金融機関に対する積極的な対応と今後の混乱回避への姿勢が市場で評価された場合、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 一方、当局の姿勢が市場で評価されなかった場合、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。

 2つ目は、日本時間3月29日 (水曜日) 23:00に予定している「米)下院金融サービス委員会での公聴会」です。
 FRBのバー副議長の証言が予定されています。
 上院と同様に、当局による金融機関に対する積極的な対応と今後の混乱回避への姿勢が市場で評価された場合、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 一方、当局の姿勢が市場で評価されなかった場合、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。

 3つ目は、日本時間3月31日 (金曜日) 20:00に予定している「メキシコ)失業率」の発表です。
 結果が市場予想を下回った場合、景気後退懸念が後退するので、メキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を上回った場合、景気後退懸念が増大するので、メキシコペソ円は下落するでしょう。

 4つ目は、日本時間3月30日 (木曜日) 21:30に予定している「米)第4四半期GDP【確報値】」の発表です。
 結果が市場予想を上回った場合、景気後退懸念が後退するので、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 その一方、結果が市場予想を下回った場合、景気後退懸念が増大するので、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。

 5つ目は、日本時間3月31日 (金曜日) 04:00に予定している「メキシコ)政策金利」の発表です。
 今回の予想(コンセンサス)は0.25%の利上げとなっています。世界金融不安が報じられる前は0.5%でした。
 結果が0.5%以上の利上げとなった場合、メキシコペソ円は急騰するでしょう。
 結果が市場予想どおりだった場合、メキシコペソ円は失望売りが出るかもしれませんね。
 その一方、利上げ無しや利下げだった場合、メキシコペソ円は急落するでしょう。

 6つ目は、3月31日 (金曜日) 04:45に予定している「米)イエレン財務長官の発言」です。
 イエレン長官は今月22日、「議会の承認なしに預金保護を一時的に米銀の全預金に拡大する可能性について、財務省当局者は検討も議論もしていない」と証言し、市場を失望させ、銀行株が急落しました。
 預金保護に関する当局の準備について明確な発言があった場合、ドル円とメキシコペソ円は上昇するでしょう。
 一方、預金保護に関する当局の準備について矮小であったり、不透明な発言をした場合、ドル円とメキシコペソ円は下落するでしょう。

今週の押し目買いポイントはココだ!

 押し目買いポイントが直近で到達したのは2022/12/20です。(参照:「今週のメキシコペソ円(MXNJPY)押し目買いポイント|2022/12/19」)
 そのときの価格は「6.6272円」でした。そのため、押し目買いをするときは、この価格以下で実行すべきでしょう。

 押し目買いポイントについて以下に記載します。

 一つ目の押し目買いポイントは、前回に引き続き、メキシコペソ円週足チャートの「週足ボリンジャーバンドの-3σ(現在値:6.4007円辺り)」です。
 下図は、メキシコペソ円の週足チャートになります。

 ボリンジャーバンドは現在値から値が動きしますので、当日のチャートで正しい位置を確認しましょう。

 二つ目の押し目買いポイントは、コチラも前回に続き「米国債2年物利回りが2021/2/1から形成した上昇波のフィボナッチリトレイスメント0.5(2.595%)に達したポイント」です。
 米国債2年物利回りを使用している理由については、前回のブログ記事を参照してください。
 下図は、米国債2年物利回りの週足チャートです。
 米国債2年物利回りは2021/2から大した調整をせずに上昇し続けてきました。ここにきて、大きな調整が働いています。

 上記二つの押し目買いポイントは、直ぐに達しそうにもありませんが、銀行破綻のニュースがあれば、現実味を帯びてきます。相場に参加し続け、しっかり拾っていきましょう。